設立のきっかけ。



親友の死を受け入れられずにいる。
受け入れようとしても、どこかで受け止められずにいる。
夢を見ているわけじゃない。
現実から逃げているわけでもない。
ただ、空っぽなのだ。
ただ、空席なのだ。
隣のポジション。いつもそこに在った。
それがなぜ空席なのかを、どこかでは理解したつもりだった。
でも、理解していない。このココロの一片一片が、
彼女を忘れられずにいるのだ。
ひとにこういうと大抵敬遠されてしまう。
重たいと。
重たい。
彼女という命の重み。
存在の重み。
独占していた記憶の重み。
そこに確かにいたという重み。
どこにもいない彼女に投げかける。

君が世界を望むなら、僕は。

君に生きていて欲しかった。
隣にいて欲しかった。
好き、は
生きていて欲しい口実にはならないの?

小学校に置き去りにしてきた少女がいる。
彼女はいつまでも11歳のまま、
いまでもあそこにいるのだろう。
何度迎えにいこうとおもったろうか。
次こそは、彼女の手を引いて、
家に帰りたい、と。
でも気持ちは急くばかりだ。
急いてはなにも得られない。

やさしい言葉を掛けないで。
君に甘えてしまうから。

甘えてもいいよと言ってくれてありがとう。
僕はなんてしあわせものなのだろう。
今日も風が吹いている。
雲がすごいスピードで流れていくよ。

ふと彼女に抱かれた気がした。
僕はひとりなんかじゃないね。

2004.09.14 橘瑞穂

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